「革のバッグやパンプスがほしい!」と思ったとき、どんな種類の革を選びますか?
少し値が張るけど、使い込むほど味が出るのは本革ならではの魅力。
一方で、「合皮」や「フェイクレザー」と聞くとお手入れは楽チンだけど、何か安っぽいイメージがあるかもしれません。そんな「合皮」「フェイクレザー」も、すごく進化をしているのをご存知ですか?
現在ファッション業界では「サスティナブル」「エシカル」など、循環型社会を目指して自然や環境に優しい製品をという流れになってきている中で、新しいレザー素材にも注目が集められているんです。
雑誌やハリウッドセレブのインスタなどでも最近よく見かけるこの言葉。
ステラ・マッカートニーやドクター・マーチンなどの有名ブランドもエコなレザーを使っていることで有名ですね。
今回は「エコレザー」や「ヴィーガンレザー」などと呼ばれる、その素材を掘り下げて解説します。
Contents
サスティナブルとファッション業界
ファッション誌でも最近よく取り上げられる「サスティナブル」とはどんな意味かご存知でしょうか?
「サスティナブル = サステナブル」(Sustainable)とは、sustain(持続する)+able(~できる)という二つの意味からなる単語。
すごくざっくり説明すると、このまま何も配慮せずに私たち人間が生活していくと、環境問題などで次の世代に迷惑がかかる可能性がある。だから、環境などいろんなことに配慮して、人間が地球でずっと暮らしていける、つまり「持続可能な」社会をみんなで目指そうね、ということです。
この「持続可能な」社会が今全世界で注目され、いろいろな業界で取り組みがなされています。
ファッション・アパレル業界もその一つ。
ファッション業界はこれまで大量生産・大量消費・大量廃棄をしてきました。そのような状態を見直し、「持続可能な」社会に向けて取り組んでいるんです。
取り組み方は様々で、たとえばZARAは、原材料や衣服が作られる過程(プロセス)に配慮した商品開発を「JOIN LIFE」と言うプロジェクト推進しています。
ZARA [JOIN LIFE]については
https://www.zara.com/jp/ja/z-join-life-mkt1399.html
他にも、レザーの分野では、ステラ・マッカートニーやドクター・マーチン等の有名ブランドがエコレザー、ヴィーガンレザーを使用しています。
なぜここまで世界中のファッション・アパレル業界から注目されているのでしょうか?
そこには二つの理由があります。
一つは、既に述べた環境問題。二つ目は、動物愛護の点からです。
「持続可能な社会」のためには、生態系にも配慮する必要があります。
革製品の原皮となる動物たちを育てるために排出される温室効果ガスは年間7ギガトンという途方もない量で、人間の生活で排出される温室効果ガスの約15%に相当すると算出されています。革を加工するには「なめす」という工程が必要で、なめし工程にはクロムなど有害な化学物質が使用されており、排出される際の環境汚染も懸念されています。また、同時に大量の水も消費されています。牛革1Kgを生産するためには17トンもの水が必要となります。また、本革は動物の皮が原皮となっているので、多くの環境負荷を与えている上に、多くの動物も犠牲になっているという現実もあります。このような事から近年では問題がクローズアップされ、動物の革を使用して製品を作ることに対してNOを言うブランドが年々多くなっているのです。
リアルレザーを扱わないブランドとして、真っ先に浮かぶのは「ステラ・マッカートニー」でしょう。ハイブランドの中でも、いち早くこの問題に取り組み、現在もその最先端を行くブランドです
ステラ・マッカートニーは自社ブランドのレザーを「ベジタリアンレザー」と呼んでいます。大人気のバッグ「ファラベラ」もこのベジタリアンレザーを使用しています。ほとんど本革の質感ですよね
【PR】
こんな問題意識のなかで生まれたのが「エコレザー」、そして「フェイクレザー・ヴィーガンレザー」なのです。次はエコレザーとフェイクレザー、そしてヴィーガンレザーについて、その違いに触れつつ説明していきます。
エコレザーとフェイクレザー、ヴィーガンレザーの違いとは?
エコレザーとフェイクレザーは、見た目や感触が似ているため混同されがちですが、その製造過程と素材は大きく異なります。ここでは、エコレザーとフェイクレザーの違いを端的に解説します。
エコレザーって?
エコレザーとは、基準は認定機関により異なりますが、一般的に環境に配慮されて作られた本革のことを指します。多くは、廃棄予定だった天然皮革のはぎれを再利用したものです。
いろいろな定義がありますが、「日本エコレザー協会」(http://ecoleather.jlia.or.jp/index.html)では、このように説明してます。
エコレザーとフェイクレザーは、見た目や感触が似ているため混同されがちですが、その製造過程と素材は大きく異なります。エコレザーはリアルレザーのなめし工程で出る革の切れ端を細かくし、天然素材や樹脂と混ぜたものを指しています。原皮の原材料を無駄にせず、環境基準に配慮された工場で製造され、かつ加工の際に使用される物質が有害でない、製造過程で出る廃棄物の排水処理の管理等がしっかりなされているかなど、いくつかの基準をクリアした工場で生産された物とされています。
つまり「環境負荷の低減に配慮し、環境面への影響が少ないと認められた革」が一般的に「エコレザー」と呼ばれています。
フェイクレザーとヴィーガンレザーって何が違う?
次はフェイクレザーとヴィーガンレザーについてです。革(レザー)と呼ばれる素材には様々な種類・呼び方があり、難しいのですが、フェイクレザーは一般的に合成皮革。ヴィーガンレザーとは、動物性の原材料を使用せずに作られる人工的な皮革を指します。
フェイクレザーは一般的に合成皮革と呼ばれる材質で、生地に合成樹脂を重ね塗りし、見た目や質感も本革同様に迫る物もあります。合成皮革は大まかに2種類に分けられ、ポリウレタン系の樹脂で作られるPUレザーと呼ばれるタイプと、塩化ビニルをコーティングしたPVCレザーと呼ばれるものになります。PUレザーはしなやかで、本革に近い質感と撥水性が特徴。PVCレザーは耐久性があり汚れに強く、加工がしやすいため、防水や抗菌など+αの特徴を持つ素材もあります。
ヴィーガンレザーは動物由来の原材料を使用せずに作られる人工的な皮革の事を言い、海外では”Vegan Leather” や “Sustainable Leather”とも呼ばれています。人工的な皮革と記載したのは、人工皮革と呼ばれる合成皮革より更に本革の風合いに寄せた素材もありますが、人工皮革はヴィーガンレザーとは全く異なります。
ヴィーガンレザーに使われる、主な原材料としては
サボテン:葉の部分を粉末にしてヴィーガンレザーとして加工
きのこ:胞子から伸びる「菌糸体」でレザーを作ります
ぶどう:ワインを生産する際に出る、絞りかすを使用してレザーに加工
パイナップル:収穫の際に破棄されてしまう葉の部分を使用してレザーに
りんご:皮や芯など、本来廃棄されてしまうリンゴからレザーを生成 など
欧米のアパレル業界で今話題になっている新しい技術から生まれるヴィーガンレザー。サスティナビリティを実現するエコ素材として注目されています。エコレザーもフェイクレザーもいろいろな種類があり、まだ言葉の定義が曖昧なところがありますが、どちらも地球環境への問題意識は同じ。環境や自然に優しい「持続可能な社会」のためのレザーなのです。
いま大注目のエコレザーシューズブランド3選!
エコレザー、ヴィーガンレザーを使ったファッションアイテムはバッグだけではありません。
もちろんシューズブランドもこの問題に取り組み始めています。
今回は世界中が注目するエコレザーorヴィーガンレザーを使用したシューズブランドをご紹介します♪
一つ目はお馴染みのドクター・マーチン(Dr.Martens)
【PR】ドクターマーチン ジェイドン 2 モノ 8 アイヴィーガン レディース ホワイト
動物性の素材を一切使用していないヴィーガン・フレンドリーな〈VEGAN JADON MONO 8 ホール ブーツ〉。アッパーには耐久性の高いヴィーガン素材の「KEMBLE」を使用しています。アイレットからシューレース、ウェルトステッチまで全てホワイトカラーで統一したトレンド感のあるレースアップブーツ
二つ目は日本でも少しずつ注目されている「Matt & Nat (マット・アンド・ナット)」
カナダ・モントリオールで生まれたブランドで、バッグとアクセサリーが大人気。「MAT(T)erial (素材)」と「NATure (自然)」という由来の通り、素材と自然に気を使ったブランドです。セレブ女優のナタリー・ポートマンや、シャーリーズ・セロン、オリビア・ワイルドらも「MATT & NAT」のバッグを愛用しているんです。
そんなMatt & Nattはシューズの展開もしています。
スタイリッシュかつシンプルでどんな服にも合わせやすそうなパンプス!流行を取り入れつつ、エコな取り組みもするって一石二鳥で良いですよね
そして三つ目は神戸発の日本ブランド「Bell & Sofa」
MFレザーという本革の構造を人工的に再現した素材を使用した「ヴィーガンレザー」ブランド。履きやすさからリピーターも多いんです
まとめ
今大注目の環境に優しいレザー、いかがでしたか?
もちろんデザインや経年変化など、本革には本革の良さがあります。
でも今ファッション業界は「持続可能な」社会を目指していて、今回ご紹介したようなファッショナブルでエコなレザーが大注目されているんです。
「持続可能な」社会の実現には、私たち一人一人の小さな意識改革が必要です。
急に全部を変えるのは大変。まずは1アイテム取り入れて、使い分けてみるのもいいですよね。こういう取り組みがきっとこれからもっと注目されていくはずです。
世界の常識となりつつあるエコレザー、ぜひファッション選びのポイントの一つに取り入れてみてくださいね!